我が国日本が誇る「着物」と「浴衣」は、その美しさと華やかさにより、世界中の人々を魅了してきた伝統的な衣服だ。どちらも、長袖で美しい帯がついたT字型の全身衣で、男女ともに着用することができる。着物と浴衣は似ているようでいて、実は大きな違いがある。日本人であれば、海外に行った時に恥をかかないためにも、その2つの違いを知っておくべきだろう。では、まずは歴史から振り返ってみよう。

 

着物とは一体何?

着物とは、前述したとおり、日本の伝統的な衣服である。長袖で、丈はかかとまであるのが特徴。着物の種類はシーンによって様々であり、普段着としての着物は、フォーマルな場での着物と比べ、よりシンプルなものが多い。着物の素材は一般的に絹で、帯と呼ばれる太いベルトで締める。

着物の起源は?

呉服(ごふく)とも呼ばれる日本の着物は、中国の呉の時代に着用されていた衣服にヒントを得て作られた。最初に誕生した着物は、漢民族の衣服や絹のローブから大きな影響を受けたものであった。1600年代半ばの中国の清朝以前は、かなり古風な服装だったのだ。支配者が変われば、着る物も変わるように、8世紀から11世紀にかけて、中国の衣服の影響を受けながら、日本独自の絹の衣を重ねるスタイルが確立されていった。

 

着物は誰が作った?

着物の原型は、平安時代(794-1192年)に生まれた。初期のものは、まっすぐな布の切れ端を縫い合わせて、どんな体型にも合うように作られた。しかも、着付けは簡単で、カスタマイズも自由自在。江戸時代になると、「小袖」と呼ばれる男女兼用の衣服に進化した。

 

着物は何を象徴している?

1000年の寿命があり、仙人の領域に住むとされる着物は、「長寿」と「幸運」を象徴している。着る人の資質や特徴を表したり、結婚式や季節のお祭りといった行事に関連した特定のモチーフが採用されたり、着る人に幸運を授けるものだ。現在では、世界的に有名な日本の伝統衣服として知られており、外国人は「Kimono」という言葉を聞くだけで日本を連想する。

 

着物は時代とともにどう変化してきた?

現在の着物は、昔の着物と比べると、スタイル、生地、着やすさの面で大きな変化を経てきた。奈良時代から平安時代までは、上衣と下衣(ズボンやスカート)とに分かれたアンサンブルか、一枚仕立ての服を着ていた。

戦国時代になると、武士は、表着と裏着で構成される着物を身につけていた。絹の着物が多く、その品質は武士の財力と名声によって変化した。着物の下には、褌(ふんどし)を着用していたという。

伝統的な着物は、一般人には着こなすのが難しく、高価すぎる衣服だ。一方、最近では、麻やレーヨン、ポリエステルなど、季節を問わず着られ、自由に動ける素材が使われている「浴衣」が流行ってきている。麻布に比べ、コストが安く、重ね着の回数も少ないのが特徴だ。