職人の手が織りなす京都の着物/歴史ある古都が育んだ伝統工芸
振袖と帯のあざやかな色や美しい模様は
たくさんの職人さんの手を渡って作られています。
昔から受け継がれてきた伝統工芸と
最新の流行を融合して作られる振袖。
そこにはいろいろな人たちの思いが詰まっています。
今回は古都・京都を訪ね、振袖に携わる人たちの心と
美しい振袖・帯の工程を探ってみました。

振袖の設計/Plan
◆ファッションとしての振袖を多くの人に知ってもらいたい
今回取材に協力してもらったのは、振袖をはじめ着物を制作する会社「遊禅庵」。ここでは振袖の発案、企画、デザインを行っています。「ここ2〜3年は大胆な色使いや模様の振袖が主流です。洋服と同じように、ファッションと言える着物をもっとたくさんの人たちに着てもらいたい。そういう思いで日々新作案を練り上げています。現代の20歳女性に似合う振袖を考えるのに、海外のモード誌やファッション誌の要素も取り入れているんですよ」と企画室の風間さん。そうしてイメージを膨らませて、生地の色や模様、配色、ぼかしなどの細かいデザインを決め込み、実際に着たときの柄の見え方を考えて振袖全体の図案を完成させていきます。ここ「遊禅庵」で作られる振袖は、新成人を考慮した、流行に敏感な感性と伝統の力が組み合わさっているのです。
【1】プリントしたものは色がきちんと出ないので、色見本をつけて職人さんに発注します。
【2】色をつけた図案に修正を加えます。より良い振袖を作るために納得がいくまでやります。
【3】PCで図案を起こし色をつけていきます。そして着物全体の模様の配置を考えます。
【4】図案家さんによって描かれた実物大の図案。最初の段階から手間暇がかかっています。
【5】完成品の元がこちら。仕上がりを考慮して作られた一枚の長い長い反物なんです。
【6】こちらが完成した振袖。裾や袖に模様がきちんと配されています。

振袖の制作/Work
◆友禅染は分かるまでは簡単分かってからが本当に難しい
採用が決まった企画案は実寸大の大きさに図案化されます。その後染めるために必要な型紙が作られ染職人さんの元へ。ここから真っ白な生地に色がのっていく訳です。ひとつの振袖に使う染料の数は約30種類。そのひとつひとつは4〜5色をブレンドして作られていて、とても繊細です。そして1色ずつ染めが行われていきます。ぼかしや繊細なグラデーションを出すために、重ねる色の順番はとても大切です。一度に数反分を染める工程ですが、全てがムラなく均一に染められ、全く同じ位置に模様をもってくることができるのは熟練の職人だからこそ為せる技。「私はこの道40年ですが、知らないことがまだあります。分かるまでは簡単だけど、分かってからが大変だね」と言うのは伝統工芸師の長瀬さん。振袖は、こうした努力と労力を惜しまない人たちによって作られているのです。
【1】手際よくスピーディーに染めていく長瀬さん。それでも一切のムラはありません。
【2】こちらは色を染めるスケジュール。微妙な色を出すためにとても大切なもの。
【3】1色ずつ丁寧且つ正確に色がのっていきます。1色毎に乾燥させます。
【4】色を置くために必要な型紙。同じ色の模様毎に彫られています。何十何百とあります。
【5】染料は放っておくと腐ってしまうので、良い染料が出来たときはきちんと保管します。